こんにちは、リンリンです。
2019年ノーベル化学賞は、「リチウムイオン電池の開発」に貢献した吉野彰・John B. Goodenough・M. Stanley Whittinghamの3名に授与されました!
日本人のノーベル化学賞受賞ともあって、話題になっていますね!
では、皆さんはリチウムイオン電池とは何か知っていますか?
おそらく知らない人は殆ど居ないでしょう。なぜならスマートフォンに使われる電池だからです。
ではリチウムイオン電池の原理は?何故充電できるのか?その仕組みを理解している人は殆どいないでしょう。
私は大学時代、リチウムイオン電池について研究を行っていました。主な研究内容はナノカーボンと呼ばれる物質だったのですが、電池の材料にもなります。
なぜリチウムイオン電池が働くのか、その詳細な原理を誰にでも分かるように解説していきます!
そもそも電池とは?
そもそも電池とは何でしょうか?
分かりやすく言うと、「化学物質が持つエネルギーを電気に変える装置」です。
まぁ正直何を言っているかまだ分かりませんね。
次の項でリチウムイオン電池が働く仕組みを実際に見て理解しましょう!
リチウムイオン電池の放電の仕組み
それでは実際に、リチウムイオン電池が働く仕組みを順を追って解説します。
まずは放電。つまり、スマホを動かしているときリチウムイオン電池はどのように電気を送り出しているのでしょうか?
まず、リチウムイオン電池は負極に金属リチウムを溜め込んでいます。この状態ではスマホ充電は100%です。
金属リチウムは非常に不安定な物質で、常に電子を放出してリチウムイオンになろうとしています。
正極と負極を満たす電解液は、リチウムイオンを受け入れる気満々です。
こんな状況では金属リチウムはさっさと電子を放出して、電解液に溶けだしたいですよね。
はい。溶けました。
放出された電子は行き場が無いのでスマホ側に流れていきます。この電子の流れがスマホを動かしているのです。
では溶けだしたリチウムイオンはどうなるでしょうか?
セパレータはリチウムイオンを容易に通してくれます。
リチウムイオンは負極回りに留まっているわけにも行かず、正極回りにも移動していきます。
さて、正極回りに到達したリチウムイオン。金属リチウムになって正極物質に入れればかなり快適そうです。
しかし正極物質は「リチウムイオンは不要」と言います。
ならばどうするか?スマホを伝って移動してきた電子を捕まえて、金属リチウムになってしまえば正極物質に入り込めますね。
リチウムイオンはスマホから移動してきた電子をどんどん捕まえて、金属リチウムになっていきます。
そして正極の中で快適に暮らし始めます。
完全に金属リチウムになってしまえば、放電は終了。スマホの充電は0%になってしまいました。
リチウムイオン電池の充電の仕組み
充電の仕組みは放電の真逆。スマホの充電を0%→100%にしていきましょう!
まずはスマホをコンセントに繋ぐ事で、電圧をかけます。
すると正極の中で快適な暮らしをしていた金属リチウムは電子を引き剥がされてしまいます。
溶けだしたリチウムイオンは、セパレータを通り負極付近まで移動します。
そしてリチウムイオンは電子を押し付けられて負極の中に収容されていきます。
本当は入りたくは無いんですが、外部電力によって仕方なく収容されているのです。
どんどん充電されていきます。
そして負極の中に金属リチウムが完全に収容されれば、充電は完了です。
放電したい場合は、コンセントを抜けば金属リチウムが電解液に溶けだすところからスタートしていきます。
正極・負極の素材は?
では、金属リチウムを受け入れる正極と押し込んでおける負極の材料は何なのでしょうか?
正直、リチウムイオン電池にも様々な種類がありますので電極の種類も様々です。
代表的な正極に「コバルト酸リチウム」という化合物があります。
この紫の部分が金属リチウムです。
コバルト原子と酸素原子の層に、金属リチウムがサンドイッチされている構造なのが分かりますね。
サンドイッチされていると、金属リチウムは非常に居心地がいいのです。
では負極の材料はなんでしょうか?
負極の代表的な物質は、「黒鉛」です。
黒鉛は鉛筆の芯です。こんな身近な素材が使われているとは驚きですよね!
黒鉛は、炭素原子が六角形のハチの巣構造シートが積み重なった構造を持っています。
金属リチウムは、この層の間に収容されていきます。しかし、黒鉛に収容された金属リチウムは不安定なので電池の放電が開始されるのですね!
まとめ
この記事を通じて、リチウムイオン電池の原理を理解できましたか?
今や生活の一部となったリチウムイオン電池ですから、仕組みを理解していないのはもはや恥ずかしいことかも知れません。
もっと詳しく知りたい方は、「SEI層」「セパレータ PP PE」などで検索してみてください!
かなり高度な内容ですが、もっと応用的な電池知識を手に入れることができるはずです!
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