酸化グラフェンって何?作り方・構造・用途は?【元専門家解説】

雑学

こんにちは、リンリンです。

大学時代はナノマテリアル化学専攻でした。

研究していたモノ
  • カーボンナノチューブ
  • グラフェン
  • 酸化グラフェン

といった具合で、今話題のナノマテリアルってのを扱っていました。

カーボンナノチューブやグラフェンについての記事も書いてあります。下記をご覧ください。

 

というわけで、今回は酸化グラフェンの番です。

この記事を見終わる頃には、酸化グラフェンの基礎や、研究者向けの意外な情報を網羅できるでしょう!

初心者向けに分かりやすく書いたつもりです。ご安心を!

では参りましょう!

スポンサーリンク

酸化グラフェンとは?

構造

酸化グラフェンの構造は、グラフェンのようなハチの巣状の炭素骨格が酸化された構造を持っています。

この構造は一例であり、酸化グラフェンの構造は未だ特定されていません。

グラフェンは真っ黒な粉末で、酸化グラフェンは少し茶色っぽい黒色の粉末の姿をしています。

用途

酸化グラフェンの用途ですが、実用化は残念ながら全くされていません。

研究途上の物質というわけですね!

 

期待される用途
  • 海水の淡水化
  • グラフェンを作る材料
  • デバイスへの応用
  • 医学への応用
  • 潤滑剤への応用
  • 触媒

などが考えられます!研究者の活躍に期待です!

特徴

さて酸化グラフェンの特徴ですが、グラフェンと比較してみましょう!

酸化グラフェンの性質
  • 水に溶ける
  • 電気を通さない
  • 欠陥が多い
グラフェンの性質
  • 水に溶けない
  • 電気を通す
  • 欠陥が少ない

全く異なる性質を持っていますね。

化学的な観点や用途は全く異なります!

作り方

酸化グラフェンは、Hummers法と呼ばれる方法を使って作られます。

  1. グラファイト(黒鉛:鉛筆の芯)を用意する
  2. 過マンガン酸カリウムと硫酸を加えて加熱する
  3. 酸化される
  4. 余分なゴミや材料を洗い流す

という流れで、酸化グラフェンは作られます。

 

ただ、詳しいレシピは企業や研究室によってマチマチなので出来上がる酸化グラフェンも若干性質が異なります。

価格

酸化グラフェンの価格は、1グラムあたり4万円~50万円など、高価であることが分かります。

酸化グラフェンが高価な理由
  • 作るのに手間が掛かる
  • 大量に作れない
  • 研究途上なので企業も本気で生産していない

これから研究が進めば、もっと安くなる可能性も十分にありますね!

酸化グラフェンの先進研究

海水の濾過に使える!?

つい最近、科学雑誌「Nature」で酸化グラフェンを用いた海水の濾過に関する報告がされました。

非常に簡単な方法で、海水の濾過が非常に高速で行えるとあり、非常に注目されましたね!

 

実用化は未だされていないので、何か問題が発生した可能性もあります。笑

とは言っても、酸化グラフェンのポテンシャルが見て取れる素晴らしい研究成果だと思います!

薬を体内に運べる!?

酸化グラフェンは、色々な化学物質を引っ付ける性質があります。

それを利用して、体の特定の場所まで薬を持っていこう!という研究があります。

 

そもそも酸化グラフェンを体内に入れて大丈夫なのかって疑問点もありますがね。笑

もし実用化されれば、より副作用が無く効果が高い薬として販売がされるかも知れませんね!

酸化グラフェンが潤滑剤に!?

酸化グラフェンを潤滑剤にしようという研究も盛んに行われています。

油や水に酸化グラフェンを混ぜると、滑りが良くなるらしいのです。

 

酸化グラフェンのシートのような構造が効いているのかも知れません。

より故障しづらく、エネルギー効率のいい機械を作れるようになるかも知れません!

酸化グラフェンの問題点

ここからは、少し研究者向けの難しい内容も入ってきます。

一般の方は飛ばすか、「へー。こんな問題点もあるんだー。」くらいの気持ちで読んでみてください。

構造が不明

正直、一番の問題点だと思います。

酸化グラフェンの構造は、未だに解明されておりません。

 

その理由は、最新の測定機器を使っても「構造の一部分を推測する」ことしかできないからです。

数多くの研究者が実験事実と辻褄が合う構造を模索しています。

混ざり物

酸化グラフェンは、サイズ・酸化の度合いなどが一つ一つ違います。

同じ構造の酸化グラフェンは世界に一つもないのではないでしょうか?

 

酸化グラフェンの性質は、このような混ざり物としての平均値としてしか現れません。

より均質な酸化グラフェンを合成できるようにしなければ、実用化は難しいかも知れません。

レシピが確立されていない

先ほど酸化グラフェンの作り方をお伝えしましたが、詳しいレシピは企業や研究室で違います。

すると、出来上がる酸化グラフェンの性質も変わってしまいます。

現状ではかなり質の良い酸化グラフェンが合成されていますが、まだまだコストのかかる合成法のようです。

 

より質の良く・安い酸化グラフェンを作れば、更なる研究の飛躍が期待されます!

強いアルカリで壊れる ※研究者向け

酸化グラフェンはpH10~11ほどで壊れます。

  • 中性に戻しても水に分散しなくなる(1日静置で沈殿など)
  • 不可逆的に黒ずむ
  • IRスペクトルの不可逆的変化
  • 若干の還元進行化

などなど、構造の明らかな変化が見られます。

研究者の方で、研究プロセスに塩基条件を加えている方は酸化グラフェンの構造が破損している可能性を考慮してください。

吸着性質 ※研究者向け

酸化グラフェンは様々な化合物を吸着します。

特に、酸素官能基を有している化合物は吸着されやすいです。

 

pHを上昇させると、吸着から脱離されることも報告されていますが、上記のように塩基性で構造が壊れる可能性がありますので要注意です。

まとめ

後半は難しい話が多かったですが、酸化グラフェンについて詳しくなれたでしょうか?

もしかしたらこれから有名になるかも知れない物質「酸化グラフェン」

知っていて損はないはずです!笑

いつか役に立つことが来る日を楽しみにしています!

では!

コメント